この記事の要点

  • 音だけで痛みや腫れがなく、曲げ伸ばしが普通にできるなら、関節の中の気泡や腱が骨の出っ張りを乗り越える音であることが多く、急いで受診しなくてよい場合がほとんど。
  • 痛みを伴う、腫れや熱感がある、引っかかって伸ばせない・曲げられない、ガクッと抜ける、といった場合は先に整形外科へ。
  • 音が気になる人の多くは、階段の下りで膝が内に入り、お皿の通り道がずれている。お尻でブレーキを受けられる身体を作ると、膝の負担が減る。

階段を下りるたびに膝がポキッ、ミシッと鳴る。痛くはないけれど、このまま放っておいていいのか不安になる。こうした相談を、40代以降の方からよく受けます。理学療法士の立場からお伝えしたいのは、「音そのもの」と「痛み・腫れ・引っかかり」は分けて考える、ということです。この記事では、先に医療機関へ行ったほうがよい目安を丁寧に整理したうえで、音だけの場合に考えられる原因と、階段の動作のどこで膝に負担がかかっているのか、B.E.Tで行う評価・整体・トレーニングの順番を解説します。

結論:音だけなら急がなくてよいことが多い。痛み・腫れ・動かない引っかかりは受診

「階段で膝が鳴るのは、病院に行ったほうがいいサインですか?」という質問に対する答えは、「音だけで痛みがなければ、急いで受診しなくてよい場合がほとんど。ただし、痛み・腫れ・引っかかって動かないという症状がひとつでもあれば、先に整形外科へ」です。

膝が鳴ること自体は、健康な膝でも起こります。問題は音ではなく、音と一緒に出ている症状です。この線引きができると、「鳴るたびに不安になる」状態から、「様子を見てよい音」と「見てもらう症状」に整理して考えられるようになります。

この記事で分けて考える3つ

この記事で扱えるのは上の2つまでです。3つ目に当てはまる方は、この先を読む前に医療機関で膝の状態を確かめてください。

先に医療機関へ行ったほうがよい目安

私たちは整体やトレーニングで膝の状態を見極めることはできません。整体は医療行為ではなく、膝の中で何が起きているかを画像で確かめることもできないからです。次のいずれかに当てはまる場合は、トレーニングより先に整形外科で診てもらってください。

「引っかかって動かない」感覚は、膝の中のクッション(半月板)や軟骨の状態が関係していることもあり、動かし方を工夫して様子を見る段階ではありません。年齢を理由に我慢している方が多いのですが、動かない引っかかりは一度きちんと見てもらうことで、その後にできる運動の範囲がはっきりします。

医療機関で大きな問題がないと確認できたあとに、「それでも階段で鳴る・引っかかる感じが残る」場合こそ、動き方と筋肉の使い方を見直す出番です。

音だけの場合に考えられること(一般論として)

痛みや腫れがなく、音だけが出る場合、一般的には次のような仕組みが考えられています。どれに当てはまるかを特定するのは医師の役割ですが、仕組みを知っておくと不安はかなり軽くなります。

関節の中の気泡がはじける音

関節の中は液体で満たされていて、曲げ伸ばしで圧が変わると小さな気泡ができ、それがはじけるとポキッと鳴ります。指の関節を鳴らすのと同じ現象で、鳴ったあとしばらくは同じ音が出にくいのが特徴です。痛みがなければ、これ自体を気にする必要はほとんどありません。

腱や靭帯が骨の出っ張りを乗り越える音

膝の外側や内側には、骨の出っ張りの上を通る腱や太い帯があります。曲げ伸ばしの途中でこれらが出っ張りを乗り越えるときに、パチッ、コリッと音がすることがあります。毎回同じ角度で鳴り、階段の下りのように膝を曲げたまま体重を受ける動作で出やすいのがこのタイプです。

膝のお皿の通り道がずれて擦れる音

膝のお皿(膝蓋骨)は、太ももの骨の溝の上を滑るように動きます。膝が内に入った状態で曲げ伸ばしをすると、お皿が溝の中心から外れた位置で動き、ミシミシ・ザラザラとした音や引っかかり感が出やすくなります。階段で膝が鳴る方を評価すると、このタイプがかなりの割合を占めます。そして、これは動き方で変えられる余地が大きい部分です。

階段のどの局面で膝に負担がかかっているか

階段の上りと下りでは、膝にかかる負担の種類が違います。音が出やすいのは圧倒的に下りです。理由を動作に分けて見ていきます。

下り:ブレーキをどこで受けるか

階段を下りるとき、上の段に残した脚は、体重をゆっくり下ろすブレーキ役です。本来はお尻と太ももの後ろが股関節を軸にブレーキを受けますが、股関節が硬い、またはお尻が働かないと、膝だけが曲がって前に出る形になります。膝が前に出た状態では、お皿が太ももの骨に強く押しつけられ、さらに膝が内に入ると、お皿の通り道がずれます。ここで音や引っかかり感が出ます。

上り:お尻で押すか、前ももで引き上げるか

上りは、上の段に置いた脚のお尻で身体を押し上げるのが理想です。前ももだけで引き上げる上り方になると、膝が先に前へ出て、やはりお皿の圧が高まります。上りで鳴る方は、この「前もも頼み」の上り方になっていることが多く、膝が痛む手前の状態ともいえます。

音が出る瞬間を自分で観察する

膝が内に入る下り方は、音だけでなく下りの痛みにもつながります。痛みが出ている方は階段の下りで膝が痛い原因のほうが当てはまります。

理学療法士が初回評価で見ること

B.E.Tの初回評価では、音を鳴らすことを目的にはしません。鳴る側と鳴らない側で、股関節・膝・足首の動きに何が違うのかを探します。見るのは主に次の点です。

この組み合わせで、「お皿が外に引かれている」「足首が硬くて膝で受けている」「お尻が働かず膝が内に入る」のどれが中心かが見えてきます。鳴る理由はひとつではなく、複数が重なっていることも珍しくありません。

B.E.Tの60分と、自宅でできるセルフチェック

1回60分は「評価 → 整体 → トレーニング」の順で進めます。膝が鳴る方の場合、整体でお皿を外へ引っ張っている筋肉と足首をゆるめ、お皿が真っ直ぐ通る状態を作ってから、その状態を保てる筋肉を鍛えます。

整体でゆるめるところ

トレーニングで使えるようにするところ

お尻を後ろに引いてしゃがむ動き(ヒップヒンジ)を覚えるところから始めます。次に、低い台に片脚で立って反対の脚をゆっくり下ろす練習で、ブレーキをお尻で受ける感覚をつかみます。膝が内に入らないよう、鏡で膝とつま先の向きを揃えながら行います。進め方の全体像はB.E.Tのメソッドにまとめています。

セルフチェック:鏡の前の片脚ミニスクワット

  1. 鏡の正面に立ち、鳴る側の脚で片脚立ちになる。
  2. 膝を軽く曲げ、お尻を後ろに引きながら5cmほど腰を落とす。
  3. 膝のお皿が、つま先の人差し指より内側に向いていないかを見る。
  4. 反対の脚でも行い、左右を比べる。

鳴る側だけ膝が内に向く、または膝が前に出てかかとに体重が乗らない場合、お皿の通り道がずれる下り方になっている可能性があります。痛みが出る場合は中止し、医療機関で確認してください。

現場でよく見る失敗と、鳴らない身体への道筋

やめた方がいいこと

音と合わせて「下りが怖い」「手すりがないと不安」という感覚がある方は、ブレーキ力そのものの見直しが必要です。階段の下りが怖い・不安定な人の筋トレで詳しく解説しています。登山やランニングで下りの膝が気になる方は、大阪市中央区で登山・ランニングの身体を整えるパーソナルジムもあわせてご覧ください。

大阪・心斎橋(南船場)のB.E.Tでは、理学療法士が段差の降り方とお皿の動きから原因を確かめ、整体で通り道を整えてから、お尻でブレーキを受けられる身体を作ります。医療機関で大きな問題がないと確認できた方は、初回体験90分¥5,500で、ご自身の膝の動き方を一緒に確かめてみませんか(ネット予約はこちら)。

よくある質問

Q. 階段で膝がポキポキ鳴って気になります。大阪で相談できるジムはありますか?

あります。B.E.T Personal Gym(大阪・心斎橋/南船場)では、理学療法士(国家資格)の代表トレーナーが段差の降り方やお皿の動きを評価し、整体で太ももの外側や足首をゆるめてから、お尻でブレーキを受ける身体を作ります。痛み・腫れ・動かない引っかかりがある場合は先に医療機関へ。初回体験90分 ¥5,500。

Q. 階段で膝が鳴るのは、病院に行ったほうがいいサインですか?

音だけで痛みや腫れがなく、曲げ伸ばしが普通にできるなら、急いで受診しなくてよい場合がほとんどです。一方、痛み・腫れ・熱感・引っかかって動かない・ガクッと抜ける、のいずれかがあれば先に整形外科へ。B.E.Tでは医療機関で問題がないと確認できた方の動き方を評価し、整体とトレーニングで整えます。

Q. 膝が鳴るのを放っておくと悪化しますか?

音そのものが膝を悪くするわけではありません。ただし、膝が内に入る下り方のまま階段を使い続けると、お皿の通り道がずれた状態での曲げ伸ばしが積み重なり、痛みに変わることがあります。音をきっかけに、下りでお尻にブレーキをかけられる動き方へ見直すのが現実的です。

Q. 膝が鳴る人はどんな筋トレをすればいいですか?

前ももを鍛える前に、お尻を後ろに引いてしゃがむ動き(ヒップヒンジ)と、低い台から片脚でゆっくり降りる練習から始めます。膝とつま先の向きを鏡で揃えて行うのがポイントです。B.E.Tでは整体でお皿を外へ引く筋肉をゆるめてから、この順番でトレーニングに進みます。

Q. 鳴るのは片膝だけです。左右で何が違うのですか?

鳴る側の股関節や足首だけが硬い、鳴る側のお尻が働きにくい、という左右差が見つかることが多いです。片側だけに体重を乗せる癖や、過去のケガの影響が残っていることもあります。B.E.Tの初回評価では、鳴る側と鳴らない側の両方を比べて原因を探します。

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