この記事の要点
- 筋トレで肩こりが悪化する主な原因は、肩甲骨や背中の上部が動かないまま腕を動かし、首から肩の上の筋肉が代わりに重さを支えていることです。
- 鍛える前にゆるめたいのは、胸の前(小胸筋まわり)、脇の下から背中(広背筋まわり)、背中の上部(胸椎)の3か所です。
- B.E.Tでは理学療法士が腕を上げる動きを評価し、整体でこの3か所を整えてから、肩甲骨を下から支える筋肉を鍛える順番で進めます。
肩こりを何とかしたくて筋トレを始めたのに、トレーニングした翌日はむしろ首から肩がガチガチになる。こうした相談を私たち(B.E.T)はよく受けます。筋トレそのものが肩こりに悪いわけではありません。問題は、肩甲骨が動く準備ができていない状態で腕に重さを持たせると、本来鍛えたい筋肉ではなく、こっている首から肩の上の筋肉が働いてしまうことです。この記事では、悪化する仕組みと、鍛える前にゆるめる部位を理学療法士の立場から解説します。
結論:悪化の原因は「肩甲骨が動かないまま鍛えている」こと
腕を動かす時、本来は肩甲骨が肋骨の上をすべるように一緒に動き、背中の筋肉が腕の土台を支えます。ところが肩甲骨が前に引っ張られて固まっていると、この土台が働きません。代わりに肩をすくめる筋肉(僧帽筋の上部や肩甲挙筋)が腕と重さを吊り上げることになります。
こうした筋肉は、まさに肩こりで張っている場所です。つまり、肩甲骨が動かないまま筋トレをすると、こっている筋肉にさらに仕事をさせる形になり、張りが強くなります。
- 悪化しやすい状態:肩甲骨が前に固まる → 腕を上げると肩がすくむ → 首から肩の上が重さを支える
- 目指す状態:肩甲骨が動く → 背中の筋肉が腕の土台になる → 首から肩の上は力まない
「筋肉痛」と「こりの悪化」の見分け方
トレーニング翌日の張りが、狙った筋肉に出ているかどうかで区別できます。背中の中央や脇の下、胸に心地よい筋肉痛が出ていれば狙いどおりです。一方、首の付け根から肩の上、肩甲骨の内側の上の方ばかりが重い、頭が締めつけられる感じがする場合は、こっている筋肉が代わりに働いていた可能性が高いと考えます。張る場所を記録しておくと、どの種目で肩がすくんでいたのかを振り返る手がかりになります。
肩こりを悪化させやすい種目と、その時の身体の動き
次の種目は、肩甲骨の準備がないまま行うと首から肩の上が張りやすいものです。種目が悪いのではなく、やり方とタイミングの問題です。
- 頭の上に持ち上げる種目(ショルダープレスなど):背中の上部が伸びないまま腕を上げると、腰を反らせて肩をすくめ、重さを首で支える形になります
- 引き上げる種目(アップライトロウ、シュラッグ):もともと肩をすくめる動きなので、こっている筋肉を直接さらに使います
- 引き下ろす種目(ラットプルダウン):肩甲骨を下げられないと、首をすくめたまま腕だけで引くことになります
- 腕立て伏せ:肩甲骨が肋骨から浮いたまま行うと、肩の前と首に負担が集まります
- 重いダンベルを持って行う下半身の種目:手に持った重さを肩をすくめて支え、知らないうちに首が張ることがあります
翌日に首から肩の上が張っている時は、狙った筋肉ではなくこれらの筋肉が働いていたサインと考えてください。
鍛える前にゆるめる3つの部位
1. 胸の前(小胸筋まわり)
鎖骨の下あたりから肩甲骨の前の出っ張りにつく筋肉で、硬くなると肩甲骨を前下方に引っ張ります。巻き肩の背景にもなり、腕を上げる時に肩甲骨が後ろに倒れる動きを邪魔します。
2. 脇の下から背中(広背筋まわり)
腰から脇の下を通って腕につく大きな筋肉です。硬いと、腕を頭の上に上げようとした時に腰が反り、肩がすくみます。デスクワークで腕を前に置いたままの時間が長い人は、ここが縮みやすくなります。
3. 背中の上部(胸椎)
肩甲骨は胸椎の上に乗っているので、胸椎が丸まって固いと、肩甲骨がいくら動こうとしても土台ごと前に傾いたままです。胸椎が伸びて少しねじれるようになると、腕を上げる時に肩をすくめる必要が減ります。
首から肩の上そのものは、強くもみほぐすより、上の3か所が動いて仕事が減ることで自然に力が抜けていくことが多いです。
理学療法士が初回評価で見ること
B.E.Tの初回では、肩こりのある方に次の動きを確かめます。
- 腕を横から上げる:耳と肩の距離が縮むか(肩がすくむか)、左右でどちらが早くすくむか
- 両腕を頭の上まで上げる:腕が耳の横まで届くか、届かせようとして腰が反るか
- 壁立ちで腕を上げる:背中と腰を壁につけたまま、手の甲が壁につくか
- 四つ這い:床を押した時に肩甲骨の内側が浮くか、首がすくむか
- 呼吸:息を吸う時に肩や首が先に動くか、下の肋骨が横に広がるか
どこで肩がすくみ始めるかを見ると、胸の前、脇の下、胸椎のどれが一番の妨げになっているかの見当がつきます。
自宅でできるセルフチェックと最初の一歩
セルフチェック:鏡の前で腕を横から上げる
- 鏡の前に立ち、両腕を体の横に下ろす
- 手のひらを上に向けて、ゆっくり腕を横から頭の上まで上げる
- 耳と肩の距離、腕が耳の横まで届くか、腰が反っていないかを見る
肩の高さあたりで肩がすくみ始める、腕を上げきると腰が反る場合は、筋トレの前に動きを整える必要があるサインです。
最初の一歩:壁スライド
- 壁に背中をつけて立ち、膝は軽く曲げて腰と壁の隙間を小さくする
- 肘を90度に曲げ、前腕と手の甲をできる範囲で壁につける
- 息を吐きながら、肩をすくめない範囲で腕を上にすべらせ、ゆっくり戻す。これを8回
上げる高さより、首から肩の上が力まないことを優先します。途中で肩がすくむなら、その手前までで構いません。
やめた方がいいことと受診の目安
- 張っているのに重さだけを増やす:張りが出た種目は、重さを下げてフォームを確認するほうが近道です
- 首を強く倒すストレッチを毎日くり返す:その場は楽でも、原因の胸の前や背中が変わらなければ張りは戻ります
- 肩甲骨を寄せて固めたまま行う:寄せたまま動かないと、肩甲骨の動きはかえって失われます
- 痛みをこらえて続ける:張りではなく痛みが出る動きは中止します
腕や手のしびれ、力の入りにくさ、安静にしていても続く痛み、夜間の痛み、急に強くなった痛みがある場合は、トレーニングより先に医療機関を受診してください。整体は医療行為ではないため、こうした症状は医師の判断を優先します。
B.E.Tの60分で「こらない筋トレ」に変える
B.E.Tの1回60分は「評価 → 整体 → トレーニング」の順です。肩こりがあって筋トレをしたい方では、次のように進めます。
- 評価:腕上げ、壁立ち、四つ這い、呼吸で、肩がすくむ原因が胸の前・脇の下・胸椎のどこにあるかを確かめる
- 整体:その3か所をゆるめ、腕を上げても肩甲骨が一緒に動く範囲を戻す
- トレーニング:壁スライドや四つ這いで肩甲骨を下から支える練習から始め、すくまずにできるようになった種目から重さを足していく
肩こりの背景になりやすい巻き肩と猫背の重なりは巻き肩と猫背どっちもある人の直し方、デスクワークの肩こりはデスクワークの肩こり改善法、姿勢全体は姿勢改善のページで紹介しています。
大阪・心斎橋(南船場)の完全個室で、理学療法士が肩と背中の動きを評価する初回体験(90分 ¥5,500・税込)は、ネットで空き枠を選んで予約できます。
よくある質問
Q. 筋トレをすると肩こりがひどくなるのはなぜですか?
肩甲骨や背中の上部が動かないまま腕に重さを持たせると、肩をすくめる筋肉が代わりに支えるためです。この筋肉は肩こりで張っている場所なので、使うほど張りが強くなります。
Q. 肩こりがある時は筋トレを休んだほうがいいですか?
完全に休むより、肩がすくむ種目を減らし、肩甲骨を下から支える練習や下半身の種目に切り替えるのがおすすめです。痛みやしびれがある場合は先に医療機関を受診してください。
Q. 肩こりに効く筋トレはありますか?
胸の前や背中の上部を整えたうえで、肩甲骨を下げて支える背中の筋肉を使う練習が役立ちます。壁スライドや四つ這いで床を押す練習など、首が力まない種目から始めます。
Q. 肩こりで鍛える前にどこをほぐせばいいですか?
首や肩の上を強くもむより、胸の前(小胸筋まわり)、脇の下から背中(広背筋まわり)、背中の上部(胸椎)の3か所を先にゆるめると、肩をすくめずに腕を動かしやすくなります。