この記事の要点

  • 膝の外側の痛みは、着地で骨盤が落ちて太ももの外側の帯(腸脛靭帯)が引っ張られ続けることで起きやすい。
  • 原因の中心は、片脚で立った時に骨盤を水平に保つお尻の横の筋肉(中殿筋)がうまく働かないこと。
  • 外側をほぐすだけで終わらせず、股関節の動きを戻してからお尻の横を鍛え、走る量を段階的に戻す。

走り始めは何ともないのに、5kmを過ぎたあたりから膝の外側がズキッとして、歩くと楽になる。下り坂や階段の降りで特に響く。ランナーからこうした相談をよく受けます。膝の外側に痛みが出ると、つい膝そのものを揉んだりサポーターを巻いたりしがちですが、理学療法士の立場から見ると、原因は膝より上、着地の瞬間に骨盤を支えきれないお尻にあることがほとんどです。この記事では、膝の外側が痛む仕組みと、B.E.Tで行う評価・整体・筋トレの順番を解説します。

膝の外側が痛む正体は「太ももの外側の帯」への張力

太ももの外側には、骨盤の横から膝の外側まで伸びる厚い帯(腸脛靭帯)が走っています。この帯は筋肉のように自分で縮んだり緩んだりできず、上についている筋肉に引っ張られて張力が変わります。膝の外側の骨の出っ張りの上を通るため、張力が高いまま膝の曲げ伸ばしを何千回も繰り返すと、その付近に痛みが出やすくなります。

ランナーの間では「ランナー膝」と呼ばれることもありますが、大切なのは呼び名より「なぜ帯が張り続けるのか」です。ここを見ないまま外側をローラーでほぐしても、走ればまた同じ張力がかかります。

痛みが出やすい場面

着地→骨盤の落ち→膝が内へ、という連鎖

ランニングは片脚ジャンプの連続です。着地した瞬間、体重のすべてが片脚に乗り、反対側の骨盤は下へ落ちようとします。これを止めるのが、着地した側のお尻の横にある筋肉(中殿筋)です。ここが十分に働けば、骨盤は水平のまま次の一歩へ移れます。

お尻の横が働かないと、骨盤は反対側へ落ち、着地した脚の付け根は外へ流れます。体はバランスを取るために太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)を代わりに働かせます。この筋肉は腸脛靭帯につながっているため、帯がぎゅっと引っ張られたまま膝を曲げ伸ばしすることになります。

順番で整理すると

  1. 着地でお尻の横が間に合わない
  2. 骨盤が反対側へ落ち、脚の付け根が外へ流れる
  3. 太ももの外側の筋肉が代わりに踏ん張る
  4. 腸脛靭帯の張力が上がったまま、膝の外側で擦れる

つまり膝は「被害者」で、出発点はお尻と骨盤です。膝の内側に痛みが出るタイプは、同じ着地でも足部と内ももの影響が大きく、見る順番が少し変わります(ランニングで膝の内側が痛い原因)。

理学療法士が初回評価で見ること

B.E.Tの初回評価では、走っている場面を想像しながら、片脚で体を支える力と股関節の動きを順番に確かめます。フォームを外から矯正するのではなく、その動きを作っている関節と筋肉を探すのが目的です。

左右で結果が違うことは珍しくありません。痛い側だけでなく、反対側の骨盤の落ち方まで見ることで、なぜ片方だけ痛むのかが説明できるようになります。

B.E.Tの60分:ゆるめる場所と鍛える場所を分ける

1回60分は「評価 → 整体 → トレーニング」の順で進めます。膝の外側の痛みでは、硬くなって代わりに頑張っている筋肉をゆるめ、本来働くべきお尻の横を使える状態にする、という役割分担がはっきりしています。

整体でゆるめるところ

トレーニングで使えるようにするところ

整体で股関節が動く範囲を戻したら、その範囲で骨盤を水平に保つ練習に移ります。最初は横向きで寝て、つま先を少し下に向けたまま脚を後ろ斜め上へ上げる動きから始め、お尻の横に効いている感覚をつかみます。次に壁に手をついた片脚立ち、段差を使って骨盤を上下させる運動、最後に片脚スクワットへと、立った姿勢の負荷へ段階的に進めます。

走る動作そのものを直すのではなく、着地の一瞬に骨盤を支えられる身体を作るのがB.E.Tの役割です。進め方の全体像はB.E.Tのメソッドにまとめています。

自宅でできるセルフチェックと最初の筋トレ

セルフチェック:鏡の前の片脚立ち

  1. 鏡の正面に立ち、両手を腰に当てる。
  2. 痛い側の脚で立ち、反対の膝を軽く前に上げて10秒保つ。
  3. 腰に当てた手の高さが左右で変わらないか、上半身が立っている脚の側へ傾いていないかを見る。
  4. 反対の脚でも同じように行い、左右を比べる。

上げた脚の側の手が下がる、または体を傾けないと立てない場合、着地で骨盤を支える力が足りていない可能性があります。

最初の一歩:横向きの脚上げ

  1. 痛い側を上にして横向きに寝る。下の膝は軽く曲げて安定させる。
  2. 上の脚をまっすぐ伸ばし、かかとを少し後ろへ引き、つま先をやや下に向ける。
  3. かかとから天井へ押し上げるように、こぶし1〜2個分だけ上げて2秒止め、ゆっくり下ろす。
  4. 10回×2セット。お尻の横の上の方が疲れてくれば正解です。

太ももの前や腰が先に疲れる場合は、脚を高く上げすぎているか、骨盤が後ろへ倒れています。上げる高さを低くして構いません。

現場でよく見る失敗と、受診の目安

やめた方がいいこと

痛みが引いたあとの距離の戻し方も大切です。いきなり元の距離に戻すのではなく、痛みの出なかった距離から少しずつ伸ばし、翌日に痛みが残らないかを確認しながら進めます。股関節そのものの硬さが気になる方はランナーの股関節が硬い理由もあわせて読んでみてください。

受診の目安

歩くだけで痛い、膝が腫れている・熱を持っている、夜寝ていてもうずく、膝がガクッと抜ける感じや引っかかりがある、ひねった・転んだなどのきっかけがはっきりしている、といった場合は、トレーニングより先に整形外科などの医療機関で診てもらってください。整体やトレーニングは、医療機関で大きな問題がないと確認できたあと、走れる身体を作り直す段階で力を発揮します。

走り続けるためにお尻から整える

膝の外側の痛みは、膝の弱さではなく、着地を支える仕組みの順番が崩れたサインです。お尻の横が働き、骨盤が水平のまま次の一歩へ移れるようになると、太ももの外側が代わりに踏ん張る必要がなくなり、膝への張力も下がります。

大阪・心斎橋(南船場)のB.E.Tでは、理学療法士が片脚立ちや股関節の動きから原因を確かめ、整体とトレーニングで走れる身体を作ります。まずは初回体験90分¥5,500で、ご自身の着地を支える力を一緒に確認してみませんか(ネット予約はこちら)。

よくある質問

Q. ランニングで膝の外側が痛いときは走るのを休むべき?

歩くだけで痛む、腫れがあるといった場合は休んで医療機関へ。走り始めは平気で途中から痛む程度なら、痛みが出る手前の距離に落とし、お尻の横の筋トレを並行するのが現実的です。痛みを我慢して距離を維持するのは避けてください。

Q. 膝の外側の痛みにストレッチやフォームローラーは効く?

外側の張りが一時的に楽になることはあります。ただ、着地で骨盤が落ちる状態が残っていれば、走るたびに同じ張力がかかります。ゆるめたあとにお尻の横を使う練習まで行うことで、戻りにくくなります。

Q. お尻の筋トレはどのくらいで効果を感じる?

横向きの脚上げでお尻の横に効く感覚がつかめるまでに数回かかる方が多く、そこから片脚立ちや片脚スクワットに進めます。週2回程度を目安に続け、片脚立ちで骨盤が落ちにくくなったかを鏡で確認していくと変化が分かりやすいです。

Q. ランナーでもパーソナルジムに通う意味はある?

練習量を減らすためではなく、走り続けられる身体を作るために通う意味があります。B.E.Tでは理学療法士が原因を評価し、整体で股関節の動きを戻してから、着地を支える筋肉を鍛えます。走る練習はご自身で続けていただけます。

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