この記事の要点

  • 走る前に鍛えたいのは、お尻・足首まわり(足裏とふくらはぎの奥)・お腹まわりの3部位。
  • 3部位はそれぞれ「骨盤を支える」「着地の衝撃を受ける」「上半身と骨盤をつなぐ」役割を持つ。
  • まずは寝た姿勢・座った姿勢で効かせ方を覚え、片脚で立つ種目へ段階的に進めるのが初心者の近道。

ランニングを始めようと思ったとき、あるいは走り始めて数週間で膝や足首に違和感が出てきたとき、「走るための筋トレ」を探す方は多いと思います。ただ、検索すると種目が多すぎて、何から手をつければいいか分からなくなりがちです。理学療法士の立場から言えば、初心者が最初に鍛えるべき場所は多くありません。走る動作を分解すると、痛みの出発点になりやすい場所は限られているからです。この記事では、走る前に鍛えたい3部位と、自宅でできるメニューを紹介します。

結論:走る前に鍛えるのは「お尻・足首まわり・お腹まわり」の3部位

ランニングは片脚での着地と蹴り出しの繰り返しです。1回ごとの負担は小さくても、数千回重なることで、弱いところから順に疲れが出てきます。初心者の筋トレは、走る量を増やす前にその弱いところを先回りして補うのが目的です。

  1. お尻:着地した瞬間に骨盤を水平に保ち、脚を後ろへ送る力を出す。
  2. 足首まわり(足裏とふくらはぎの奥):着地の衝撃を受け止め、土踏まずのつぶれを支える。
  3. お腹まわり:肋骨と骨盤をつなぎ、腕振りで上半身が揺れても骨盤がぶれないようにする。

太ももの前(大腿四頭筋)を真っ先に鍛える方が多いのですが、初心者のランナーで不足していることは比較的少なく、むしろ使いすぎて張っていることがよくあります。この3部位を先に整える方が、走り始めの痛みを防ぎやすくなります。

部位1:お尻 ― 骨盤を支え、脚を後ろへ送る

お尻には、骨盤を横から支える筋肉(中殿筋)と、脚を後ろへ送る大きな筋肉(大殿筋)があります。前者が弱いと着地で骨盤が落ちて膝の外側に負担がかかり(ランニングで膝の外側が痛い原因)、後者が弱いと推進力をふくらはぎや腰で補うことになります。

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次の段階

慣れたら、片脚でのお尻上げ、壁に手をついた片脚立ちへ進めます。片脚で立ったときに反対側の骨盤が落ちなければ、走る準備が一歩進んだサインです。

部位2:足首まわり ― 足裏とふくらはぎの奥で衝撃を受ける

着地の衝撃を最初に受けるのは足首と足裏です。ここで受け止めきれないと、衝撃はすねや膝へ上がっていきます。ポイントは、ふくらはぎの表面の筋肉ではなく、奥にある筋肉(ヒラメ筋)と、土踏まずを支える足裏の小さな筋肉です。

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次の段階

両脚でできたら片脚のかかと上げへ。目安として片脚で20回前後、ぐらつかずにできると、着地の衝撃を受け止める土台ができてきます。ふくらはぎの張りやすさとの関係は走るとふくらはぎが張る原因で詳しく書いています。

部位3:お腹まわり ― 肋骨と骨盤をつなぐ

走っているとき、上半身は腕振りで左右にねじれ、下半身は脚の動きで反対向きにねじれます。その間をつなぐのがお腹の横から斜めに走る筋肉(腹斜筋)と、お腹の奥の筋肉です。ここが働くと、上半身の揺れが骨盤に伝わらず、脚の動きが安定します。

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上体を起こす腹筋運動は、股関節の付け根の前側を縮めやすいため、走るための準備としては優先度を下げています。腕振りで肩が上がる、猫背になるといった上半身の崩れが気になる方は走ると猫背になる人のフォームもあわせてどうぞ。

週の組み方と、理学療法士が初回評価で見ること

初心者の組み方の目安

走る準備ができたかのセルフチェック

  1. 鏡の前で片脚立ちになり、30秒間、骨盤の高さが左右で変わらず、上半身を傾けずに立てるか。
  2. 壁に軽く指先を添え、片脚のかかと上げを20回前後、膝を曲げずにリズムよくできるか。
  3. 仰向けのデッドバグで、腕と脚を伸ばしたときに腰が床から浮かないか。

3つのうちできないものがあれば、その部位が走る前の優先課題です。左右差がある場合は、弱い側の回数を少し多めにします。

B.E.Tの初回評価で見ること

同じメニューでも、人によって効き方は違います。B.E.Tでは理学療法士が、片脚立ちで骨盤が落ちるか、しゃがみでかかとが浮くか・膝が内に入るか、足首を前に倒せる角度、呼吸で下の肋骨が横に広がるかを確認し、3部位のうちどこから手をつけるべきかを決めます。

60分の中では、整体で股関節や足首の動く範囲を戻してから、その範囲で上のメニューを行います。動かない関節のまま筋トレをすると、別の筋肉が代わりに働き、効かせたい場所に効かないことがあるためです。考え方はB.E.Tのメソッドで紹介しています。

よくある失敗と、受診の目安

受診の目安

走り始めてから、膝・すね・足首・腰に腫れや熱感がある、歩くだけでも痛い、安静時や夜間に痛む、しびれがある、ひねった・転んだなどのきっかけで急に痛くなった、という場合は、筋トレを始める前に整形外科などの医療機関で診てもらってください。痛みの原因が分かってから、走るための身体作りに進む方が安全です。

3部位をそろえてから、走る距離を伸ばす

ランニングのための筋トレは、たくさんの種目をこなすことではなく、走る動作で負担が集まる3部位、つまりお尻・足首まわり・お腹まわりを先に整えることです。ここがそろうと、走る距離を伸ばしても痛みが出にくく、ランニングそのものを長く楽しめるようになります。

大阪・心斎橋(南船場)のB.E.Tでは、理学療法士が評価で優先する部位を決め、整体とトレーニングで走る前の身体を作ります。初回体験90分¥5,500はネットで空き枠を選べます(予約ページへ)。

よくある質問

Q. ランニング初心者は筋トレと走るのどちらを先にやるべき?

同時に始めて構いませんが、最初の数週間は走る距離を控えめにし、筋トレで片脚立ちや片脚のかかと上げが安定してから距離を伸ばすのがおすすめです。走る量を先に増やすと、弱い部位から痛みが出やすくなります。

Q. ランナーの筋トレは週に何回がいい?

初心者は週2〜3回、1回15〜20分程度で十分です。走らない日か、軽く走った後に行いましょう。効かせ方を覚えるまでは回数より、狙った場所に効いているかを優先してください。

Q. スクワットはランニングの筋トレに必要?

必要ですが、両脚のスクワットで太ももの前ばかり使っている方が多いため、初心者はまずお尻と足首まわりの種目で使い方を覚えるのがおすすめです。その後、片脚スクワットへ進むと走る動作に近い形で鍛えられます。

Q. ジムに行かなくても自宅で十分?

この記事のメニューは自宅でできます。ただ、関節の動きが足りないと狙った場所に効かないことがあります。効いている感覚がつかめない場合は、評価と整体で関節の動きを確認してから行うと効率が上がります。

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