この記事の要点

  • 膝の内側の痛みは、着地で土踏まずがつぶれ、すねが内へねじれて膝が内に入る流れで起きやすい。
  • 膝の内側の少し下(内ももの筋肉の腱が集まる場所)は、このねじれの引っ張りを受けやすい。
  • 足部・股関節の動きを整体で戻し、足裏とお尻で膝の向きを保つ練習をしてから距離を戻す。

走ったあと、膝のお皿の内側やその少し下が痛む。押すと響くけれど、膝の外側や前は平気。膝の内側の痛みは、外側の痛みと比べて足元の影響が大きいのが特徴です。理学療法士として評価すると、着地の瞬間に土踏まずがつぶれ、すねが内側へねじれ、その結果として膝が内に入っている、という順番が見えてくることが多くあります。この記事では、足部と内ももを手がかりに、膝の内側が痛む理由とB.E.Tでの整え方を解説します。

膝の内側に負担が集まるのは「ねじれ」が原因

膝は基本的に曲げ伸ばしの関節で、ひねる動きはわずかしかできません。ところが走っている最中、足元と股関節の両方から逆向きのひねりが入ると、その間にある膝が「ねじれの受け皿」になります。膝の内側には、内ももの筋肉の腱が束になって骨につく場所(鵞足と呼ばれる部分)や、内側の靭帯があり、ねじれによる引っ張りを受けやすい構造です。

痛みの出方の特徴

膝の外側が痛むタイプは骨盤が落ちる問題が中心ですが(ランニングで膝の外側が痛い原因)、内側のタイプはそこに足部のつぶれが加わっていることが多いです。

足部から順に起きること

着地すると、足は衝撃を吸収するために少し内側へ倒れ、土踏まずがたわみます。これ自体は正常な動きです。問題は、たわみが大きすぎる、または戻るのが遅いときです。

  1. 土踏まずがつぶれる:かかとの骨が内側へ倒れ、足が内へ傾く。
  2. すねが内へねじれる:かかとの傾きに引っ張られ、すねの骨が内側へ回る。
  3. 膝が内に入る:すねが内へ回り、太ももも内へ倒れると、膝はつま先より内側へ。
  4. 内ももの腱が引っ張られる:膝が内に入るたびに、膝の内側の腱の付け根が伸ばされる。

土踏まずを支えているのは、足の裏の小さな筋肉と、すねの奥から足裏へ回り込む筋肉(後脛骨筋)です。ここが疲れてくる後半ほど、つぶれ方が大きくなります。走り始めは平気で後半に痛くなるのは、この疲労と関係しています。すねの内側に痛みが広がる場合はシンスプリントの予防も参考になります。

内ももとお尻の関係:上からも膝は引き込まれる

足元だけでなく、股関節からも膝は内へ引き込まれます。太ももの付け根を外へひねる筋肉(お尻の深いところの筋肉)が働かないと、着地で太ももが内側へ回り、膝が内に入ります。

このとき、内ももの筋肉(内転筋)は硬く縮んだまま頑張っていることが多いです。内ももが硬いと、股関節を外へ開く動きがさらに制限され、膝が内に入る癖が強まる、という悪循環になります。内ももは「鍛える場所」と思われがちですが、膝の内側が痛むランナーでは、まずゆるめて動きを取り戻す対象になることが多い筋肉です。

内ももが硬くなりやすい走り方

こうした走り方そのものを外から矯正するより、股関節が外へ開く余裕と、お尻で太ももの向きを保つ力を取り戻す方が、結果として着地の位置も自然に変わりやすくなります。見た目のフォームを意識しすぎると、かえって力みが増えるランナーも少なくありません。

理学療法士が初回評価で見ることと、B.E.Tの60分

初回評価では、足元から股関節まで「どこからねじれが始まっているか」を探します。

評価の結果をもとに、60分の中で整体とトレーニングを組み合わせます。整体では、内ももの筋肉、すねの内側の奥、足首まわりの硬さをゆるめ、股関節を外へ開く動きと、足首を前に倒す動きを戻します。トレーニングでは、足の指を丸めずに土踏まずを持ち上げる練習から始め、片脚立ちで膝をつま先の方向へ保つ練習、段差の降りでの膝のコントロールへと進めます。

評価→整体→トレーニングの考え方はB.E.Tのメソッドでも紹介しています。

自宅でできるセルフチェックと最初の一歩

セルフチェック:段差の降りで膝の向きを見る

  1. 階段の一段目(または厚めの本を重ねた台)に、痛い側の脚で立つ。
  2. 鏡に向かい、反対の脚をゆっくり床へ下ろしていく。
  3. 膝のお皿が足の人さし指の方向を向いたままか、親指より内側へ入っていくかを見る。
  4. 反対の脚でも行い、左右を比べる。

膝が内へ入る、または同時に土踏まずがつぶれるのが見えれば、走っている最中にも同じことが起きている可能性があります。

最初の一歩:タオルを使わない足裏アーチ作り

  1. 椅子に座り、足裏全体を床につける。
  2. 足の指を丸めずに伸ばしたまま、親指の付け根とかかとの距離を近づけるように土踏まずを持ち上げる。
  3. 5秒保って戻す。10回×2セット。
  4. 慣れたら立った姿勢、さらに片脚立ちで行う。

足の指をぎゅっと握ってしまうと、別の筋肉で代わりにやってしまいます。指が床から浮かない範囲で、小さな動きで構いません。

よくある失敗と、受診の目安

現場でよく見るパターン

受診の目安

膝の内側がはっきり腫れている、熱を持っている、膝を曲げ伸ばしすると引っかかる・ロックする、ひねった瞬間に音がした、安静にしていても痛む、夜間にうずく、といった場合は、靭帯や半月板など膝の中の問題も考えられます。まず整形外科などの医療機関で診てもらい、そのうえで走れる身体作りに進んでください。

痛みが落ち着いてからの戻し方

再開は、平らな道を短い距離から。下り坂や、片側に傾いた路面は膝のねじれを強めるため後回しにします。走った翌朝に階段の降りで膝の内側が響かないかを目安に、問題がなければ少しずつ距離を伸ばしていきます。

足元と股関節をそろえて走り続ける

膝の内側の痛みは、足元のつぶれと股関節のひねりが、膝の一点でぶつかっているサインです。膝だけを守るのではなく、土踏まずを支える力とお尻で太ももの向きを保つ力をそろえることで、膝はねじれの受け皿にならずに済みます。

B.E.Tでは理学療法士が足の形から段差の降りまで評価し、整体とトレーニングで膝の向きを保てる身体を作ります。初回体験90分¥5,500で、どこからねじれが始まっているのかを確かめてみてください(ネットで空き枠を予約)。

よくある質問

Q. ランニングで膝の内側が痛いのは扁平足のせい?

土踏まずが低いこと自体より、着地でどれだけつぶれ、どれだけ早く戻るかが関係します。土踏まずが低くても痛まない方もいます。足裏の筋肉の働きと、股関節で太ももの向きを保てるかをあわせて見ることが大切です。

Q. 膝の内側の痛みに内ももの筋トレは必要?

膝の内側が痛むランナーでは、内ももがすでに硬く頑張っていることが多く、最初はゆるめて股関節を外へ開く動きを戻すことを優先します。その後、お尻と足裏で膝の向きを保つ練習を行い、必要に応じて内ももも含めた全体の筋トレに進みます。

Q. 膝の内側が痛いときのシューズ選びは?

シューズは着地の負担を変える一つの要素ですが、それだけで膝の向きの癖が変わるとは限りません。内側のかかとが極端にすり減っている靴は替えどきです。そのうえで足裏とお尻の働きを整えることをおすすめします。

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