この記事の要点
- かかとをつけてしゃがめないのは、足首を前に倒せる角度が足りず、重心が後ろへ逃げてしまうことが主な原因。
- 足首が倒れない分を膝を内に入れる・背中を丸めるで補うと、しゃがみは不安定になり、股関節も深く曲がらなくなる。
- 足首が原因か股関節が原因かを切り分け、整体で可動域を戻してからその範囲でしゃがむ練習をすると、しゃがみ方は変わりやすくなる。
床に落ちた物を拾う、低い棚の中を探す、子どもや孫と目線を合わせる。そんな場面でかかとが浮いてしまう、しゃがもうとすると後ろに倒れそうになる、しゃがめても立ち上がれない。「昔はできたのに」「年のせい」と諦めている40代以上の方から、よく相談を受けます。理学療法士の立場から見ると、しゃがめない原因の多くは脚の筋力より「足首を前に倒せる角度」と「股関節が深く曲がる範囲」にあります。この記事では、しゃがむ動作を分解し、足首と股関節のどちらでつまずいているかを切り分ける方法と、B.E.Tでの整え方を解説します。
かかとをつけてしゃがめないのは「足首が前に倒れない」から
かかとをつけたまましゃがめないのはなぜか。結論から言うと、足首を前に倒せる角度(足の甲とすねが近づく動き)が足りず、重心を足の真上に置いたまま下へ降りられないからです。しゃがむとき、すねは前に傾いて膝がつま先より前に出ます。足首がその角度まで倒れないと、体は後ろへ倒れそうになり、バランスを取るために踵を浮かせるか、しゃがむのをやめるしかありません。
足首は体の一番下にある関節なので、ここが硬いと、その上の膝・股関節・背中がすべて帳尻合わせを始めます。しゃがめない人の膝が内に入ったり、背中が丸くなったりするのは、足首の不足を上の関節が補っている結果です。
しゃがめない人に見られるサイン
- しゃがもうとすると踵が自然に浮く、または後ろに倒れる
- 踵をつけようとすると膝が内側に寄る
- 深くしゃがむと背中が丸まり、手を床につかないと立てない
- 和式トイレや低い段差で足が突っ張る感覚がある
しゃがみを分解する:足首・膝・股関節の順番
しゃがむ動作は、足首・膝・股関節の3つの関節が同時に曲がって重心をまっすぐ下へ降ろす動きです。3つの関節のうち1つでも動く範囲が足りないと、残りの関節が代わりに動き、しゃがみの形が崩れます。
1. 足首:すねが前に倒れるか
まずすねが前に傾き、膝がつま先の上を越えていきます。深くしゃがむには、足首がかなり大きな角度まで倒れる必要があります。ふくらはぎやアキレス腱が硬い、過去の捻挫で足首の前側が詰まっている、といった場合にここで止まります。
2. 膝:内に入らずに曲がるか
足首が倒れないと、体はつま先を外に開いたり膝を内に入れたりして、見かけ上の深さを稼ごうとします。膝が内に入るしゃがみは、足首の不足のサインであると同時に、膝の内側に負担をかけます。しゃがむたびに膝が痛む方は、この代償が続いているかもしれません(しゃがむと膝が痛い原因)。
3. 股関節:骨盤を立てたまま深く曲がるか
最後に股関節が深く曲がり、骨盤を立てたままお尻を踵に近づけます。股関節の前側や内ももが硬いと骨盤が後ろへ転がり、背中が丸まります。この状態で止まると、立ち上がるときに手をつかないと戻れません。
足首と股関節はつながっている
足首が倒れないと重心が後ろへ逃げ、股関節は深く曲がる前に後ろへ転がります。逆に股関節が硬いと骨盤が後ろへ倒れて踵に体重が乗り、足首を倒す余地がなくなります。どちらか一方だけを伸ばしてもしゃがみが変わりにくいのは、この2つが互いに影響し合っているからです。
理学療法士が初回評価で見ること
B.E.Tの初回評価では、実際にしゃがんでもらい、どの関節でつまずいているかを順番に確かめます。「しゃがめない」という一つの結果に対して、足首型・股関節型・両方型があり、進め方が変わるためです。
- しゃがみの観察:踵が浮く瞬間はどの深さか。膝が内に入るか。背中が丸まる深さはどこか。つま先を外に開かないとしゃがめないか。
- 足首を前に倒せる角度:壁に向かって片膝立ちになり、踵をつけたまま膝を壁につけられる距離を測ります。左右差があれば、捻挫の経験や片脚への偏りを聞き取ります。
- 仰向けで片膝を抱える:胸まで引き寄せたとき、骨盤が後ろへ転がって腰が浮かないか。股関節の深い曲がりが足りないと、骨盤の動きで補います。
- 片脚立ちで骨盤が落ちるか:しゃがみは両脚でもバランスの動作です。片脚で骨盤が落ちる人は、しゃがみでも膝が内に入りやすい傾向があります。
訪問リハビリでは、床からの立ち座りや浴槽のまたぎを見るとき、まず足首の角度を確かめていました。足首が倒れるようになるだけで、しゃがみや立ち上がりの不安が軽くなる方は少なくありません。年齢で諦める前に、どの関節が足りないかを知ることが出発点です。
B.E.Tの60分:足首と股関節の可動域を戻してから、その範囲でしゃがむ
1回60分は「評価 → 整体 → トレーニング」の順で進めます。しゃがめない方には、整体で足首と股関節の動く範囲を戻し、その範囲を自分の筋肉で支えながらしゃがむ練習をします。可動域が戻っても使い方を覚えなければ、数日でまた硬くなるからです。
整体でゆるめるところ
- ふくらはぎとアキレス腱。足首を前に倒す動きをもっとも制限しやすい部分です。
- 足首の前側の詰まり。すねの骨が前へ滑る動きを戻します。
- 股関節の前側と内もも。骨盤を立てたまま深く曲がるために必要です。
- 足の裏とすねの外側。足のアーチが崩れていると、しゃがみで膝が内に入りやすくなります。
トレーニングで使えるようにするところ
最初は壁に手をつき、踵をつけたまますねを前に倒す練習で、戻った足首の角度を自分で使えるようにします。次に、踵の下に薄い板を敷いた状態でのしゃがみ込み。足首の負担を減らした状態で、股関節を深く曲げて骨盤を立てる感覚をつかみます。慣れてきたら板を薄くし、柱や机につかまって深くしゃがむ・立つを繰り返し、最後は手を使わないしゃがみ込みへ進めます。お尻と内ももで膝の向きを支える練習も並行します。
足首の可動域が戻ると、歩き方や階段の動きも変わります。進め方の全体像は整体×トレーニングとはにまとめています。
自宅でできるセルフチェック:足首型か股関節型かを切り分ける
セルフチェック1:壁に膝をつける(足首)
- 壁に向かって立ち、片足のつま先を壁から握りこぶし1個分(約10cm)離して置く。
- 踵を床につけたまま、膝を前に倒して壁に当てる。反対の脚は後ろに引いて支える。
- 踵が浮かずに膝が壁に触れれば、足首の角度はしゃがみに必要な範囲にある。
- 届かない場合は、つま先を壁に近づけて、届く距離を左右で比べる。
こぶし1個分で届かない、左右差が大きい場合は足首型の可能性が高い状態です。
セルフチェック2:踵に本を敷いてしゃがむ(股関節)
- 厚さ2〜3cmの本や板を両方の踵の下に敷く。
- 柱や机に軽く手を添え、ゆっくりしゃがめるところまでしゃがむ。
- 本を敷くと深くしゃがめて背中も伸びるなら、足首が主な原因。本を敷いても深さが変わらず背中が丸まるなら、股関節が主な原因。
多くの方は両方が関わっていますが、どちらの影響が大きいかで、最初に整える場所が決まります。
最初の一歩:壁すね倒し
- 壁に両手をつき、片足を半歩前に出す。
- 踵を床につけたまま、膝をつま先の方向へ前に倒して3秒止め、戻す。
- 片脚10回ずつ。膝が内に入らないよう、膝のお皿を人差し指の方向へ向ける。
現場でよく見る失敗と、受診の目安
やめた方がいいこと
- ふくらはぎを伸ばすストレッチだけで終える:ふくらはぎがゆるんでも、足首の前側が詰まっていたり股関節が硬かったりすると、しゃがみは変わりません。伸ばしたあとに、その角度でしゃがむ練習まで行う必要があります。
- つま先を大きく外に開いてしゃがむ:深さは稼げますが、膝が内に入りやすくなり、膝の内側への負担が増えます。
- 踵を浮かせたしゃがみを何百回も繰り返す:つま先立ちのしゃがみは太ももの前とふくらはぎだけで支える動きで、足首と股関節の可動域は広がりません。
- しゃがめないからスクワットで脚を鍛える:可動域が足りないままのスクワットは、浅い範囲で膝が前に出る動きの反復になり、しゃがみの深さは変わりません。
足首を過去にひねっている方は、可動域だけでなく足首の安定も合わせて見る必要があります。
受診の目安
しゃがむと膝や足首が腫れる・熱を持つ、安静にしていても痛い、夜間にうずく、しゃがむ途中で関節が引っかかって動かなくなる、転んだ・ひねったなどのきっかけがはっきりしている、脚にしびれがある、といった場合は、可動域の練習より先に整形外科などの医療機関で診てもらってください。B.E.Tの整体は診断・治療を行うものではなく、医療機関で大きな問題がないと確認できたあとに、しゃがむ身体を作り直す段階で役立ちます。
「年のせい」ではなく「足首と股関節の角度」から見直す
かかとをつけてしゃがめないのは、脚の筋力が落ちたからでも、年齢だけのせいでもなく、足首を前に倒せる角度と股関節が深く曲がる範囲が足りなくなったサインです。どちらが主な原因かを切り分け、整体で可動域を戻し、その範囲でしゃがむ練習を積むと、しゃがみ方は年齢に関わらず変わりやすくなります。床からの立ち上がりにも不安がある方は床から立てない・正座から立ちにくい原因、姿勢全体から見直したい方は大阪市中央区で姿勢改善もできるパーソナルジムもご覧ください。
大阪・心斎橋(南船場)のB.E.Tでは、理学療法士が足首の角度と股関節の動きを測り、整体で可動域を戻してから、手を使わずにしゃがんで立てる身体を段階的に作ります。まずは初回体験90分 ¥5,500で、ご自身のしゃがみがどの関節で止まっているかを一緒に確認してみませんか(ネット予約はこちら)。
よくある質問
Q. かかとをつけてしゃがめない。大阪で足首や股関節を見てもらえるジムは?
あります。B.E.T Personal Gym(大阪・心斎橋/南船場)では、理学療法士(国家資格)の代表トレーナーが足首を前に倒せる角度と股関節の深い曲がりを測り、どちらが原因かを切り分けたうえで、整体で可動域を戻してからその範囲でしゃがむ練習を進めます。腫れ・しびれ・引っかかりがある場合は先に医療機関へ。初回体験90分 ¥5,500。
Q. かかとをつけたまましゃがめないのはなぜですか?
足首を前に倒せる角度(すねが前に傾く動き)が足りず、重心が後ろへ逃げて踵を浮かせないとバランスが取れないためです。股関節が深く曲がらず骨盤が後ろへ転がる場合も同じ結果になります。B.E.Tでは足首型か股関節型かを評価し、整体で可動域を戻してからしゃがむ練習をします。
Q. しゃがめないのは足首と股関節のどちらが原因か、自分で分かりますか?
踵の下に2〜3cmの本を敷いてしゃがんでみてください。本を敷くと深くしゃがめて背中が伸びるなら足首が主な原因、敷いても深さが変わらず背中が丸まるなら股関節が主な原因です。多くの方は両方が関わっているので、どちらの影響が大きいかで最初に整える場所を決めます。
Q. しゃがめないのは年のせいで、もう戻りませんか?
年齢だけで決まるものではありません。訪問リハビリの現場でも、足首の角度が戻るだけで床からの立ち座りの不安が軽くなる方を多く見てきました。足首と股関節の可動域を戻し、その範囲でしゃがむ練習を続ければ、しゃがみ方は変わりやすくなります。
Q. しゃがめるようになるために、スクワットをすればいいですか?
可動域が足りないままのスクワットは、浅い範囲で膝が前に出る動きの反復になりやすく、しゃがみの深さは変わりにくいです。先にふくらはぎ・足首の前側・股関節の前側をゆるめ、踵に板を敷いた状態で深くしゃがむ練習から始め、段階的に板を薄くしていく方が近道です。