この記事の要点

  • 登山で足首をひねるのは、不整地で片脚に体重が乗った瞬間に、足の外側へ重心が逃げて足首が内に返る動きが原因になりやすい。
  • 足首そのものに加えて、足裏の三点で床を捉える力と、骨盤を水平に保つ股関節の安定性がそろうと、ひねりにくい脚になる。
  • 過去に捻挫をした足は、感覚と反応が鈍ったままのことが多い。片脚立ちのチェックで左右差を確かめ、腫れや体重をかけられない痛みがあれば医療機関へ。

石や木の根に足を乗せた瞬間、くるっと足首が内側に返る。大きなけがにはならなくても、ひやっとする経験が重なると、山道で足元ばかり見て歩くようになります。足首をひねりやすい人は「足首が弱い」と考えがちですが、理学療法士として動作を見ると、原因は足首の上と下、つまり足裏の支え方と股関節の安定性にもあることが多いです。この記事では、ひねりが起きる瞬間を分解し、足部と股関節の両方から捻挫を予防する鍛え方をまとめます。

足首をひねる瞬間に何が起きているか

登山で多いのは、足首が内側に返り、足首の外側の靭帯が引き伸ばされるタイプのひねりです。足場が傾いていたり、足の外側だけで着地したりして、体重が足の外へ逃げたときに起こります。

普段の平らな道では、多少重心が外に逃げても足首が倒れる前に立て直せます。しかし山道では足場が一歩ごとに違い、ザックの重さで身体が揺れやすく、疲れで反応も遅くなります。立て直すための筋肉の反応が、足首が返る速さに間に合わなくなったときに捻挫が起きるのです。

ひねりやすさを決める3つの要素

足首だけ鍛えても予防しきれない理由

捻挫の予防というと、タオルを足指でたぐり寄せる運動や、ゴムバンドで足首を外へ返す運動がよく紹介されます。どちらも役に立ちますが、それだけでは足りないことがあります。

片脚で立ったときにお尻の横の筋肉が働かないと、骨盤が反対側へ落ち、上半身が支えている脚の外側へ傾きます。すると体重は足の外側にかかり、足首は内に返りやすい向きで地面に押し付けられます。足首の筋肉がいくら反応しても、上から落ちてくる体重の向きがずれていれば、引き戻すのは難しくなります。

反対に、股関節が安定して体重が足の真上に落ちていれば、足首にかかる「ひねる方向の力」そのものが小さくなります。足元と股関節の両方を整えるのは、そのためです。お腹まわりの安定も関わるので、登山のための体幹トレーニング(初心者)もあわせて参考にしてください。

理学療法士が初回評価で見ること

片脚立ちで骨盤が落ちるか、足裏がどう揺れるか

靴を脱いで片脚で立ってもらい、後ろから骨盤の傾きを、前から足首と足指の動きを確認します。骨盤が落ちる、足指が床を強くつかんで白くなる、足の外側に体重が寄るといった反応は、ひねりやすさにつながるサインです。

足首を前に倒せる角度

壁に向かって膝を近づける動きで、すねを前に倒せる角度を左右で比べます。足首の前側が硬いと、つま先を外に向けたり足の外側に乗ったりして角度を補おうとし、不安定な位置で着地しやすくなります。

過去の捻挫の有無と左右差

一度捻挫をした足は、腫れが引いた後も、足首の位置を感じ取る感覚や筋肉の反応が鈍ったままのことがあります。どちらの足をいつ頃ひねったかを伺い、片脚立ちの左右差と照らし合わせます。

B.E.Tの60分で進める、ひねりにくい脚づくり

B.E.Tの1回60分は「評価 → 整体 → トレーニング」の順です。全体の考え方は整体×トレーニングとはで紹介しています。

  1. 評価:片脚立ち、足首の角度、過去の捻挫と左右差から、足部と股関節のどちらの影響が大きいかを見極める。
  2. 整体:ふくらはぎ、足首の前側、足裏、お尻の横の硬さをゆるめ、足首が前に倒れる範囲と足指が動く範囲を戻す。
  3. トレーニング:足裏の三点で立つ練習から始め、片脚立ち、お尻の横の筋肉の種目、片脚で前後左右に手を伸ばす動きへと、不安定さを少しずつ増やしていく。

最終的には、片脚で立ったまま上体を傾けたり、柔らかいマットの上で立ったりと、足場が変わる山道に近い条件でも体重を足の真上に保てることを目指します。下りの膝にも不安がある方は50代からの登山で膝を守る筋トレで、関節を守る順番を詳しく解説しています。

自宅でできるセルフチェックと最初の一歩

セルフチェック:裸足の片脚立ち30秒

  1. 裸足で、つかまれる場所の近くに立つ。
  2. 片脚を軽く浮かせ、目を開けたまま30秒立つ。
  3. 骨盤が傾かないか、足の外側に体重が寄っていないか、足指で必死に床をつかんでいないかを鏡で確認する。反対の脚も同様に。

左右で立ちやすさが明らかに違う場合や、過去にひねった側だけ揺れが大きい場合は、その脚の安定性が落ちている目安になります。

最初の一歩:三点を感じるかかと上げ

両足で立ち、親指の付け根・小指の付け根・かかとに均等に体重を乗せます。親指の付け根で床を押す意識を保ったまま、ゆっくりかかとを上げ下げします。かかとが上がるときに足首が外側へ倒れないことがポイントです。10回を2セット。慣れたら片脚で行います。

次の一歩:片脚立ちで時計の針を指す

片脚で立ち、浮かせた脚のつま先で、前・斜め前・横の床に順番に軽く触れて戻ります。支えている脚の骨盤が落ちないこと、膝がつま先より内に入らないこと、足の外側に体重が寄らないことを確認しながら、各方向3回ずつ行います。体重が足の真上に乗った状態で、足場の変化に合わせて身体を傾ける練習になります。ふらつく場合は、触れる距離を短くして構いません。

現場でよく見る、やめた方がいいこと

受診の目安と、B.E.Tで相談できること

足首をひねった直後に大きく腫れる、内出血が広がる、体重をかけて歩けない、骨の出っ張った部分を押すと強く痛む、といった場合は、トレーニングの前に整形外科などの医療機関を受診してください。腫れや熱感が残っている間は、鍛えるより先に医療機関の指示に従うことが優先です。整体は医療行為ではありません。

痛みが落ち着いていて、ひねりやすさや足元の不安が残っている方は、足部と股関節の両方から整えることで、山道での安心感を取り戻しやすくなります。大阪・心斎橋(南船場)のB.E.Tでは、理学療法士が片脚で立つ動きを評価し、整体とトレーニングで進めます。ネット予約から初回体験90分 ¥5,500をお選びいただけます。

よくある質問

Q. 登山で足首の捻挫を予防するには、どんなトレーニングがいいですか?

足裏の三点で立ちながら行うかかと上げ、片脚立ち、お尻の横の筋肉を鍛える種目を組み合わせるのがおすすめです。足首だけでなく、片脚に体重が乗ったときに骨盤が落ちないようにすることで、体重が足の外側へ逃げにくくなり、ひねりにくい脚に近づきます。

Q. 一度捻挫した足首は、またひねりやすくなりますか?

腫れや痛みが引いた後も、足首の位置を感じ取る感覚や、ひねりかけたときに引き戻す筋肉の反応が戻りきっていないことがあり、くり返しやすい状態が残ることがあります。片脚立ちで左右差を確かめ、差があれば安定性の練習を続けてください。

Q. ハイカットの登山靴を履けば足首を鍛えなくても大丈夫ですか?

靴は足首を支える助けになりますが、片脚に体重が乗った瞬間に骨盤が落ちて重心が外へ逃げる身体の使い方は変えられません。道具で支えつつ、足裏で床を捉える力と股関節の安定性を身体の側でも整えておくことをおすすめします。

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