この記事の要点

  • 登山の翌日の筋肉痛は、主に下山で筋肉が伸ばされながらブレーキをかける動きの繰り返しで起きる。
  • 筋肉痛が出た「場所」を見ると、どの筋肉に下山の仕事が偏っていたかが分かり、トレーニングの優先順位が決まる。
  • 山に行く前の数週間、ゆっくり降りる系の種目で筋肉を慣らしておくと、翌日の痛みの出方が変わりやすい。

山から帰った翌日、階段を降りるたびに太ももが悲鳴をあげる。登っている最中はきつかったのに、筋肉痛になるのはなぜか下りで使った場所ばかり。こうした経験は珍しくありません。翌日の筋肉痛は「鍛え方が足りない」というより、下山で特定の筋肉に仕事が集中した結果として出てきます。理学療法士の視点から、筋肉痛が起きる仕組みと、出る場所から読み取れること、事前に身体を慣らすトレーニングを順番に整理します。

翌日の筋肉痛は「下山のブレーキ」で起きる

筋肉の使われ方には、縮みながら力を出す場面と、引き伸ばされながら力を出す場面があります。登りは前者、下りは後者が中心です。翌日以降に強く出る筋肉痛は、後者の「伸ばされながら踏ん張る」動きを、慣れていない量だけ繰り返したときに起きやすいことが知られています。

下山では、一歩ごとに身体が落ちないようにブレーキをかけ続けます。しかも登りより速いペースで、同じ動きを延々と繰り返すため、筋肉にとっては普段の生活にない負荷になります。登りでは息が上がっても筋肉痛は出にくく、下りで脚が笑うのはこの違いによるものです。

ブレーキを一か所で担うほど痛みは強くなる

本来、下りのブレーキはお尻・太ももの裏・太ももの前・ふくらはぎで分担できます。ところが股関節を曲げずに膝だけで受け止める降り方をしていると、太ももの前が一手に引き受けることになり、その筋肉だけが翌日に強く痛みます。

筋肉痛が出た場所から分かる、身体の使い方

翌日の筋肉痛は、いわば下山中の身体の使い方の記録です。どこが痛いかで、トレーニングの優先順位が見えてきます。

痛む場所が左右で大きく違う場合は、片側の脚でブレーキをかける癖があるサインです。下りで膝そのものが痛む方は登山の下りで膝が痛い人の鍛え方も参考にしてください。

理学療法士が初回評価で見ること

B.E.Tの初回評価では、筋肉痛が出た場所を伺ったうえで、その筋肉に負担を集めている動きを探します。

立ち上がりで膝が先に出るか、お尻が先に引けるか

椅子から立ち上がる、または座る動きで、膝が先に前へ出る人は、下山でも膝主導でブレーキをかけている可能性が高いです。お尻が先に後ろへ引ける人は、股関節で受け止める準備ができています。

足首を前に倒せる角度

すねを前に倒せる角度が小さいと、下りで足裏全体を接地できず、ふくらはぎに負担が集まりやすくなります。左右差もここで確認します。

段差の降りで身体がどう揺れるか

低い台から降りる動作を横と前から見て、上体が後ろに残るか、骨盤が左右に揺れるかを確認します。上体が後ろに残るほど、太ももの前にブレーキが集中します。

B.E.Tの60分で進める「下山に慣れた脚」づくり

B.E.Tの1回60分は、評価 → 整体 → トレーニングの順です。筋肉痛を減らす目的では、整体で関節の動く範囲を戻し、そのうえでブレーキを分担できる筋肉を順番に使えるようにします。考え方の全体像は整体×トレーニングとはで紹介しています。

  1. 評価:立ち座り、足首の角度、段差の降りから、ブレーキの偏りを特定する。
  2. 整体:太ももの前の張り、ふくらはぎ、股関節の前側をゆるめ、股関節と足首が曲がる範囲を確保する。
  3. トレーニング:お尻を後ろに引く動きを覚えたあと、3〜4秒かけてゆっくり腰を落とすスクワットや、低い台からのステップダウンで「伸ばされながら支える」動きに慣らす。

ポイントは、山に行く数週間前からこの「ゆっくり降ろす」動きを少量ずつ繰り返しておくことです。筋肉は同じ種類の負荷を一度経験すると、次に同じ負荷を受けたときの筋肉痛が軽くなりやすい性質があります。いきなり山で大量に経験するのではなく、平地で小分けに経験させておくイメージです。

自宅でできる慣らしトレーニング

ゆっくり座る椅子スクワット

  1. 椅子の前に立ち、足を腰幅に開く。
  2. お尻を後ろへ引きながら、4秒かけて椅子に座る。膝がつま先より内側に入らないよう注意する。
  3. 座ったら、立ち上がりは普通の速さで行う。8回を2セット。

立ち上がりより座る動きをゆっくりにするのが、下山のブレーキに近づけるコツです。翌日に太ももの前だけが強く痛むなら、お尻を引く量が足りていません。

階段の降りを1段ずつ丁寧に

日常の階段で、降りるときだけ手すりに軽く触れながら、上に残る脚でゆっくり身体を下ろす意識を持ちます。特別な時間を取らずに、下山に近い動きを積み重ねられます。

慣れてきたら:片脚のステップダウン

  1. 階段の一番下の段に立ち、片脚を段に残したまま反対の脚を前の床へ下ろしていく。
  2. 3秒かけてかかとを床に近づけ、触れる直前で止めて段の上へ戻る。
  3. 左右5回ずつから始め、翌日の筋肉痛の出方を見ながら回数を増やす。

このとき、段に残った脚の膝が内側に入らず、お尻の奥にも力が入っている感覚があれば、ブレーキの分担ができ始めています。太ももの前だけが熱くなる場合は、上体をわずかに前へ傾け、お尻を後ろへ引く量を増やしてみてください。

現場でよく見る、筋肉痛を長引かせるパターン

太ももの前ばかり張る方は、登りの段階から使い方が偏っていることもあります。登山で太ももばかり疲れる人の歩き方で、お尻で登る身体の作り方をまとめています。

受診の目安と、まず確かめたいこと

筋肉痛は通常、数日で軽くなっていきます。1週間以上たっても痛みが引かない、一か所だけ鋭く痛む、腫れや熱感がある、尿の色が極端に濃いといった場合は、筋肉痛以外の可能性もあるため医療機関を受診してください。

毎回同じ場所が強く痛む方は、身体の使い方を一度確かめてみる価値があります。B.E.Tでは理学療法士が、下山で負担が偏る原因を評価し、整体とトレーニングで分担できる身体を作っていきます。ネット予約から初回体験90分 ¥5,500をお選びいただけます。

よくある質問

Q. 登山の翌日の筋肉痛を予防するには、何週間前から鍛えればいいですか?

決まった期間はありませんが、少なくとも山に行く数週間前から、ゆっくり腰を落とすスクワットや段差のステップダウンを少量ずつ繰り返しておくと、下山のブレーキに筋肉が慣れやすくなります。直前に追い込むより、早めに小分けで経験させる方が効果的です。

Q. 登山の後、筋肉痛が2日後に出るのはなぜですか?

下山のように筋肉が引き伸ばされながら力を出す動きを繰り返すと、筋肉痛は当日よりも翌日から2日後あたりに強く出ることがよくあります。遅れて出るのは珍しいことではなく、慣れない量のブレーキ動作をしたサインと考えてください。

Q. 筋肉痛の日もトレーニングや運動をしていいですか?

強い痛みがある筋肉を高強度で使うのは避け、軽い散歩や、痛みのない部位のトレーニングに切り替えるのがおすすめです。軽く身体を動かすことで張りがやわらぐ方も多いです。痛みが1週間以上続く場合は医療機関に相談してください。

関連記事

初回体験を予約する B.E.Tのメソッドを見る